国連教育科学文化機関( UNESCO / ユネスコ )総会が採択した世界遺産を題材とする紀行ドキュメンタリー番組。 今回は、人物シリーズ第一弾! ハプスブルク家に嫁いだ皇妃エリザベートゆかりの二都市( オーストリア・ハンガリー )を巡ります。 彼女を通してみる世界遺産と知られざるエピソードを再現シーンも織り交ぜながらのお届け。 弊社スタッフブログでは、時間の都合上、放送しきれなかったエリザベートにまつわる秘話を大公開中です!
美しきプリンセスが愛した街ブダペスト 日本では、映画やミュージカルで有名なヨーロッパで最も美しいと言われる皇妃エリザベート。 今日でも美貌のプリンセスとして名高い彼女の人気の秘密を探ります。 ロケ地は『 ウィーン歴史地区 』と『 ブダペストドナウ川河岸 』。 波乱の運命を生きたエリザベートの物語が眠る世界遺産にスポットライトを当てて旅は進んでいきました。 ここではハンガリーの首都ブダペストでの撮影裏話を少しだけご紹介します ♪
孤独な皇妃が現実逃避できた場所、それがハンガリー
嫁ぎ先の宮廷は厳しく、ドイツの自然の中で天真爛漫に育ったプリンセスにとってウィーンは息苦しい所でした。 鳥籠から逃げ出すかのようにエリザベートが足しげく訪れたのは、ドナウの真珠ハンガリー。
彼女が生きた 19 世紀頃、この国はハプスブルク帝国の支配下でした。 政治には口を出さなかった皇妃でしたが、大好きなハンガリーのことになると熱心に皇帝に働きかけたと言われています。
結果的に皇帝はハンガリーの自治権を認め、エリザベートの存在によってこの国の運命は大きく変わっていきました。
エリザベートと折り合いが悪かった義母ゾフィーはハンガリーを嫌い、その反発心からさらにのめり込んだともされていますが、このフランクなお国柄が性に合っていたのでしょう。
彼女は、世界の中でも難語とされるハンガリー語をマスターし、通訳もできるほどだったそう。 実際に、ハンガリー語で書いた直筆の手紙も多く現存しているんですよ。
特にエリザベートが好んで訪れたブダペスト郊外にある Gödöllő ( ゲデレー / 以下、グドゥルー ) 宮殿では、先日まで手紙類一部を特別展示していました。 直筆でどんなことを誰に宛てて書いていたのでしょうか。 ご興味がある方は、スタッフブログ最後の書籍案内をご覧ください。
現地の人々にとってエリザベートは、ハンガリーを支配した皇帝の妃というよりもこの国の偉大な王妃として、その人気は衰えることを知りません。 今も尚、聡明で美しきハンガリー王妃はシシィという愛称で愛され続けています。
プリンセスの心を癒した別荘地
エリザベートが愛したグドゥルー宮殿 この宮殿の見所は、なんといってもエリザベートのお部屋! 来客が絶えない生活で自由でいられないストレスから逃れるために ( 日本でいうところの居留守を使うために )、彼女の部屋には忍者屋敷のような秘密の階段があります。 そこを降りると人目を避けて王妃専用のテラスへ行くことができたのです。
現在はカフェとなっている場所で、庭先にはエリザベートが可愛がった愛犬 2 匹のお墓があります。 かつてその庭からは馬小屋へ行くことができ、こっそり抜け出して乗馬で気分転換していたそうです。
今回の撮影は歴史的人物のストーリーを織り交ぜた番組初の試み。 エリザベートの人生は乗馬なくして語れないので … 再現シーンでは馬に乗れる女優が必要です。
キャスティングの大きな壁が立ちはだかった…と思った矢先! ビジュアルも皇妃に似ていて長年の乗馬キャリアのある方がハンガリーにいたんです! 乗馬シーンのためにモデルさんは訓練を受け、当日は馬のコンディションを確認しながらの撮影。 動物ロケは忍耐力が必要なのですが、こんなにスムーズなの!?というぐらいお馬さんも絶好調で草原を駆け抜けてくれたのです!
ドローン映像の仕上がりを見て、スタッフ全員からモデルさんとお馬さんに「あっぱれ!」の拍手が沸き起こったを忘れません。 そして馬の調教師さん、乗馬クラブのスタッフの皆さん、ご協力本当にありがとうございました。
皇妃が愛したハンガリーの名窯 Herend ( ヘレンド )
ヘレンド工房の絵付師 エリザベートが頻繁に訪れたグドゥルー宮殿でも愛用され、彼女が好んで使用していた磁器ヘレンド。 番組内では、木の幹や花のモチーフが交互に並び、西安の赤と白の縞模様が特徴的な『 Gödöllő ( ゲデレー / グドゥルー ) 』を紹介しました。
こちらは皇帝フランツ・ヨージェフ 1 世がエリザベートに贈ったもので、皇妃は大変気に入ったそうです。
ヘレンド磁器販売店はブダペスト市内にも数多くあります。 中でも世界遺産登録のアンドラーシ通り沿いのショップは、ヘレンドの名品をとりそろえています。 アンドラーシ通りの店舗を取材した際に、お目にかかったことのない品が!! ディレクター、コーディネーターの女性陣はテンションアップ!! その作品がこちらです。
上写真右には、日本でも人気が高い『 ウィーンの薔薇 』と呼ばれるティーセット。 ヘレンドファンの皆様、写真左のデザインを見たことがありますか?
スミレ色が何とも愛らしい食器たち! この色とスミレ柄を見てピーンときた方は、かなりのエリザベート通ですね。 実は今年 2017 年にハンガリー王妃としての戴冠式 150 周年、エリザベート生誕 180 周年を迎えました。 その記念すべき年に彼女がお気に入りだったスミレ色でデザインしたティーセットを制作したそうです。
ダイエットに熱中していたエリザベートがウィーンでこっそり足を運んだケーキショップでは「スミレの砂糖漬け」を購入し、グドゥルー宮殿の彼女の部屋は壁一面スミレ色。 「スミレ」というのは皇妃にとって特別な存在だったのです。 撮影当時は非売品でしたが、特別に見せていただきました。
美貌のプリンセスはカリスマ的ハイセンス
エリザベートの姿を追った撮影で最大の難関だったのが、再現シーンの衣装でした。 ハリウッドも映画撮影に訪れるブダペスト市内には、貸衣装屋がいくつかあり、19 世紀頃の貴族の衣装は調達できますが … イメージに合う純白のオフショールドレスがどこにもない!
モデルさんが着用したカツラは昔の映画で使用されたもので、やっと一点見つかったという感じ。苦笑
しかしどんなに走り回っても「エリザベートのドレスは特別だから…」と言われて空振り続き… そこで突拍子もないアイデアが飛び出しました。 それは、コーディネーターの使用済みウエディングドレスをリメイクするという案でした。 一番近いものができるかも!ということでディレクターやスタッフ、キャストと話し合った結果、真っ白な花嫁衣裳で制作することに決定! 劇場衣装制作係の友人の助けを借り、何とかドレスも完成し、撮影に間に合いました。
身長は 170cm 超えでウエストは 51cm~53cm と絵に描いたようなナイスバディだっただけでなく、衣装にもかなりの拘りが。
ファッションだけでなく、エリザベートは考え方もモダンで当時から見ると相当前衛的だったよう。
再現シーンの準備には悪戦苦闘しましたが、彼女のカリスマ的なセンスを肌で感じることができました。
【 ハンガリー国立博物館秘蔵 オシャレすぎるパジャマ 】
放送内に入りきらなかった皇妃のパジャマ。 これまた白が基調で細部までこだわった可愛らしいデザインですね~ こちらは、ハンガリー国立博物館で保管されている遺品で一般公開はされていません。
国立博物館では、エリザベートが暗殺された際に着用していた黒いブラウスをご覧いただけます。
決して公にはならないスタッフたちの努力の姿
穏やかな紀行番組制作の裏側は、クルー全員必死のパッチ ( 笑 ) より良い画を求めている時、ふと客観的にロケ風景を見ているとくすっと笑ってしまうことがあります。 上写真の現場ではクレーンが無かったので、カメラマンがはしごによじ登り銅像の顔を全力で撮影。 撮影の裏側は脚光を浴びませんが、できあがった映像はスタッフたちの汗と涙の結晶なんです ♪
本撮影の魅力の一つともいえるのがドローン映像。 ハンガリーはブダペストも含め、保険と政府の許可が下りれば、日本人でもドローンを飛ばすことが可能です。
確かにゲリラ的に飛ばす観光客はまだまだ多いですが、事故が起こっているのは事実です。 これからますます規制が厳しくなると思われますが、きちんと手続きをし、ルールを守れば素晴らしい映像が撮れます。 ハンガリーでドローン撮影をお考えの方はご相談ください。
美食の街ブダペストはロケ飯がとにかく旨い!!
明朝から夜遅くまでの撮影が毎日。 ウィーンロケ 2 日間は、フライトトラブルや機材のロストラゲッジでてんやわんや。苦笑 ハンガリーロケは 1 週間ほどの長丁場でした。
本当に疲労困憊の日々でしたが、そんな疲れをフっ飛ばしてくれるのは、やっぱり美味しいロケ飯 ♡
毎朝「今日の夜は何を食べる?」という会話から始まり、食事をモチベーションに撮影をスタートしていました ( 笑 ) 上写真はハンガリーの『 国宝豚マンガリッツァ肉のステーキ 』です! 肉厚でジューシーなマンガリッツァはスタミナ満点 ◎ こちらはコーディネーターおすすめブダペスト 7 区にある老舗レストランの逸品です。
国宝豚は脂がしっかりのっているのにしつこさがなく、クルー全員ペロリと完食。 猛烈にハードなロケでしたが、笑顔が絶えない楽しい現場でした ♪
Special Thanks
戴冠式ドレスレプリカ制作者 Czédly Mónika Moholy-Nagy
University of Art and Design Budapest ( ブダペスト応用美術大学 ) 教授 Dr. Földi-Dózsa Katalin Mátyás-templom ( マーチャーシュ教会 ) 歴史学者 Kisvarga Gábor Herend ( ヘレンド )
グドゥルー柄絵付師 Orbán Júlia
Magyar Nemzeti Múzeum ( ハンガリー国立博物館 ) 学芸員 Kollár Csilla
Magyar Nemzeti Galéria ( ハンガリー国立ギャラリー ) 美術史学者 Dr. Bellák Gábor
Gödöllői Királyi Kastély ( グドゥルー宮殿 ) 学芸員 Kaján Marianna
Magyar Állami Operaház ( ハンガリー国立オペラ劇場 )
Milton Farm ( ミルトンファーム )
Váci utca Opera shop ( ヴァーチ通りオペラショップ )
日本ハンガリーメディアートでは、中央、東ヨーロッパ諸国でのテレビ、CM 制作、再現ドラマや雑誌の写真撮影コーディネート等を 10 年近く手掛けています。 安心・安全をモットーに、豊富な実績でロケコーディネートサービスを提供していますので、お気軽にお問い合せください。
TBS 世界遺産特集記事 hhttps://www.tbs.co.jp/heritage/feature/2017/201711_02.html
【 2016年出版書籍 PR 】
グドゥルー宮殿で保管されているエリザベート直筆の手紙一部をまとめ、解説を加えた本。
手紙の実物を撮影させていただきましたが、泣く泣くカットになりました。
皇妃の最も近くにいた女官であり大親友のハンガリー人、イダ宛に送られた手紙や皇帝から送られた手紙などが含まれ、私生活や心の内が垣間見える興味深い一冊ですよ。
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